糖度高めな秘密の密会はいかが?
広大な敷地にデザイナーズマンション、タワーマンションが立ち並んでいる。

何だろう?誰かに会いに来たのかな?

それにしても、有澄は何も説明しない。

「辿り着くまで黙っててね」

見渡すだけで後ずさりしていた私に有澄は声をかけた。

私はぎこちなくうなづくと、有澄は微笑んで私の左手を握る。

セキュリティが三重にもかけられ、ロック解除をしながら進んで行く。

明かりが灯してある木々の中には、水景が広がり癒しの広場になっている。

デザイナーズマンションの方まで行き、エレベーターは最上階の11階で止まった。

玄関のロックを解除して、部屋まで辿り着くと一面に広がる夜景が見えた。

「わぁっ、綺麗ね!」

「ゆかり、気に入ってくれた?」

「え…?」

部屋の中には家具も何もなくて、フローリングが広がり、キッチンなどの元々備え付けてあるものだけしかない。

有澄が冷房をつけて、広い部屋が次第に冷え冷えとしてくる。

気に入るも何も、この部屋が何なのかも知らない。

「あ、有澄…ここって…?」

将来を見据えて購入するつもりなのか、賃貸なのかは分からない。

「実は…さっき着くまで話をしないでって言ったのは、あの場で驚いて欲しくなかったからなんだけど…」

何だろう、胸騒ぎがする。

とてつもなくとんでもない事を言いそうな気がする・・・。

「…その前に、ゆかりはココに住みたいと思う?」

タワーマンションとかデザイナーズマンションは憧れではあるけれど、実際に住むとしたらどうなんだろう?

「夜景が見えてホテルみたいで憧れだけど…有澄を1人で待ってる時は寂しいかな…」
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