糖度高めな秘密の密会はいかが?
月々の家賃だったり、購入するにも資金だったり、色々気になる事はあるけれど、私は一先ず素直な気持ちを伝えた。

「そっか。ゆかりは本当に高級志向に釣られないよね。そういうところも好きなんだけど…」

私達は夜景を見ながら立ち話をしていたが、有澄が広いフローリングの上に座ったので、私も腰を下ろして座る。

「こっちに座って…」

「……はい」

「素直で可愛い」

有澄の前に座り直すと、ぎゅっと後ろから抱きしめられ、頭を撫でられる。

今日は有澄の誕生日だから、言われるがまま、行動しようと決めている。

テーマパークでは私がはしゃぎ過ぎて失敗したので、今後は有澄の赴くままに過ごしたい。

「この部屋、誕生日プレゼントに貰った。…と言うか、こないだ実家に行った時に住む場所も決めてないと言ったら、祖父母に勝手に買われた」

「プ、プレゼントなの!?」

「皆、ゆかりの事が気に入ってるから、俺の為って言うよりは、厳密にはゆかりへのプレゼントだよ」

広いリビングキッチンの他に二部屋、広くて綺麗なバスルーム、ちょっとした書斎になりそうな余っているスペース、トイレも洗面所も洗練されたデザイン。

住人の公共の場所として、ラウンジやジムもある。

庶民の私には、この部屋がいくらぐらいするのか想像もつかない。

「許可も得ずに勝手に買ったり、自分達の会社の将来の為に相良や日下部さんまで巻き込んだり、破天荒過ぎて疲れるよね。破天荒よりも身勝手と言った方が正しいかな?」

私が返答に困っていると・・・

「この部屋も要らなくなったら売ればいいんだし、とりあえず住んじゃおうか?」

と言い出した。
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