糖度高めな秘密の密会はいかが?
私は、ただただ驚くばかりで何も言葉に出来なかった。

有澄と一緒に暮らしたいよ・・・でも、こんなに簡単に部屋まで用意して貰って良かったのかな?

「家具もキッチン周りのモノも買ってくれるんだって。日下部さんにもお嫁さんが来たらいずれマンション購入するつもりだって言ってたから、遠慮なくお願いしたらいいと思うよ。

日下部さんの事を隠していた罪滅ぼしをしたいんだろうから、させてあげて?」

有澄のアパートでの暮らしは1LDKだったけれど、毎日がとても楽しくて、有澄が御曹司だという事も忘れるぐらい。

今まで庶民的な生活を送って来た私にとって、財産がある人達の生活は未知の世界だった。

釣り合う様に頑張ろうと思ったけれど、現実をつき尽きられた感じがした。

「何で泣いてるの…?」

「怖くなって来たの」

「怖い…?」

「うん。有澄のお家は簡単にマンションなんて手に入るかもしれないけど…私はお嬢様でもないし、大卒でもないし、と、とにかく、相応しくないと思うの…」

想像したら怖くなった。

どんなに頑張っても、家柄の良いお嬢様にはなれないもの。

花野井グループの恥にでもなれば、有澄が私のせいで後ろ指を指される。

怖くて怖くて、涙が止まらなくなった。

有澄と一緒に居たいのに格差が邪魔をする。

「…ゆかりが傷つくと思ったから言わずにいようと思ってたけど、勝手に身辺調査されていて家柄も問題ないって言ってたよ。昨日、遅くなったのはマンションの件と身辺調査で揉めたから…」

「うぅ…身辺調査って、ドラマみたい…」

「泣いてんの笑ってんの、どっち?」

「………泣いてるのっ」
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