糖度高めな秘密の密会はいかが?
日下部さんとは二人で御飯を食べに行く事はごく稀にあったけれど、仕事の話とか会社の噂話とかをしていて恋愛の話なんてした事はなかった。

・・・・・・なのに、昨日は少しだけ恋愛の話になって、今日の行動も妙な優しさも違和感を感じる。

「本当は女の子の日なんて嘘だから…。昨日は飲み過ぎたのか、二日酔いで仕事にならなかっただけだから…」

黙っておくつもりだったが、いつもとは違う日下部さんの優しさが辛くて嘘を突き通せなくなった。

「…全く厄介な馬鹿真面目な奴だな、お前は。黙ってれば分からなかったのに…」

大きな手で優しく、私の頭を撫でる。

「…もう終わった事なんだから、泣くな」

泣いてるのは誰のせいだと思ってるの?

女の子の日だと信じて優しく接してくれたのに、二日酔いを隠していた罪悪感。

「…日下部さん、ありがとう…そして、ごめんなさい」

「別にいいよ、もう。その代わり…」

急に肩を抱き寄せられて、私は日下部さんに抱き抱えられるような体制になった。

「寒いから、少しだけ暖めて」

私はうなづきもせずにただじっとして、胸の高鳴りを静めようにしていた。
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