糖度高めな秘密の密会はいかが?
「良かったら、プリン食べて下さい」

「わぁっ、ありがとうございます!食べます!」

綾美は大のスイーツ好き。

年に二回位、スイーツバイキングに一緒に行くが、かなりの量を幸せそうに食べるのだが太らないのが羨ましい。

高橋さんが綾美にミニプリンを差し出すと子供の様に目を輝かせて受け取った。

そんな姿を微笑ましく見ていたら、いつの間にか私のお膳にもミニプリンが置いてあった。

日下部さんが置いたらしい。

「…いらないから食べろ」

「高橋さんとは大違いですね!もっと丁寧に扱って下さいね、プリンも私も!」

私達の会話を聞いて二人が笑い出す。

「…いつもこうなんだよ、この二人」

良からぬ事は吹き込まなくて良いのに、綾美が高橋さんに教えた。

「……えっと、付き合ってるんですか?」

・・・・・・・・・。

高橋さんはどうしてそのような解釈になったのか、誰も彼も一瞬、無言になった。

無言を打ち破ったのは日下部さんで・・・

「まさかっ!保護者として見守ってるだけだ」

と言い切った。

付き合ってはいないけれど、もう少しマシな否定の仕方はなかったの?

私はふとエレベーターの中での出来事を思い出した。

あの時に抱きしめられたのは、ただ単に肌寒かったのと私を落ち着かせる為だけの行為だったのは理解しているけれど、今だに忘れられない。

次の日からは何も代わり映えなく、ガミガミ煩い部長に戻っていたなぁ・・・・・・。
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