糖度高めな秘密の密会はいかが?
日下部さんだって困るでしょう。

考えるまでもないよ、私も日下部さんもその気はないよ。

進展はないかもしれないけれど香坂君の事は大好きだし、日下部さんが今まで付き合ってきたとされる噂の女の子達も華やかなタイプで私とは雲泥の差。

「…五年も一緒に居るけど、日下部さんて華やかな女の子とばっかり付き合ってるから私はタダの同期なんだよ?日下部さんにも好みはあるだろうし…付き合ってた女の子はみんな美人さんだったし…私はそんなんじゃないし…」

口を開かず黙っていれば良かった。

いつもなら直ぐに反応する日下部さんも言い返さないし、どう返答したら良いのか分からず思いついた事を並べる。

香坂君の事を引き合いに出せば良かったんだろうけど、何故だろう?・・・日下部さんには聞かれたくなかった。

恥ずかしいからか、それとも別の感情があるのか・・・自分でも曖昧な何か。

「ゆかりは派手なタイプじゃないけど、可愛いよ。化粧落としても顔が変わらないって元々が可愛いからなんだよ!もっと自信持たないと…!…ね、日下部さん?」

「……はぁっ。杉野、お前は今日残業ね!」

「えぇーっ!?有り得ない!何で?」

先程の話にも現在の話にもどちらにも触れる事はなく、溜め息を一つついて、食べ終わった後のお膳を持ち立ち上がった日下部さんは下膳置き場に向かう。

上手くはぐらかされた様な感じ。
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