糖度高めな秘密の密会はいかが?
「…お邪魔します」

「殺風景な部屋でしょ。ゆかりちゃんはソファーに座って、ちょっと待ってて」

香坂君の住むアパートは1LDKの部屋だった。

リビングに通されて、ソファーに座って待っている間に香坂君はエアコンのスイッチを入れたり、キッチンに行ったりと慌ただしく動いていた。

整理整頓された部屋の中は統一感のあるシンプルな家具でまとめられていた。

男の子なのに整理整頓されていて、几帳面な性格なんだなぁと思う。

経済学部出身だけあって、ベッド脇の小さな本棚には"経営学"や有名企業の社長の本が並んでいた。

「シャンパン飲む?」

「うん、ありがとう」

テーブルに並べられたのは4号サイズのホールケーキとシャンパン。

香坂君はスーツのジャケットを脱いで、ソファー横に置くと私の隣に座る。

「改めてメリークリスマス」

注いでくれたシャンパンで乾杯をして、私達は一杯目を飲み干す。

「…実はゆかりちゃんが来てくれる事を想定して、ケーキを用意したんだけど。来てくれて良かった!」

「いつ用意してくれたの?」

「駅前に美味しいケーキ屋さんがあるって聞いたから昼間に買いに行って、冷蔵庫にしまって置いた。来てくれなかったら夜に一人で寂しく食べてたね…。

そうだ!行儀悪いんだけど、このままケーキを食べてみたくない?」

「子供の頃は怒られるから、したくても出来なかったよね」

子供っぽい事を言う香坂君がとても可愛いらしく、少年の様だった。

「食べる前に写真撮ってもいい?このケーキ、とっても綺麗」

苺と生クリーム、飾り付けに薄く削ったホワイトチョコを使用したケーキは大人びていてとても綺麗。

ケーキとシャンパン、香坂君とケーキ、香坂君と私の組み合わせで何枚かスマホで写真を撮った。
< 49 / 216 >

この作品をシェア

pagetop