糖度高めな秘密の密会はいかが?
マーケティング本部に所属する企画開発部などの部署には一年間の研修期間があり、各店舗で接客のノウハウや商品知識を学んでからの本社の希望部署への配属となる。

通常一年間の店舗研修となるのだが、日下部は三ヶ月という異例のスピードで本社に配属になっている。

接客が苦手でお客様とトラブルになったという噂もあれば、日下部の希望部署のお偉いさんに気に入られていたので、異例のスピードで配属になったという噂もあるが、本当の事は良く分からない。

とにかく今は、同期のクセにガミガミうるさい部長になっていて私の上司というのが真実。

「何か飲む?」

「え?」

「カクテルで良い?お前、確か甘いのが好きだったよな」

「いやいや、いらないよ。この後、用事あるから」

日下部め、何で勝手に割り込んで来て、私の邪魔をするんだ。

メニューを眺めてフード系を頼もうとしているけれど、私は長居する気もないし、香坂君の仕事が終わったら一緒に出かける約束しているんだから。

香坂君が仕事終わる前に化粧直ししたり、身だしなみをもう一度確認したいんだから!
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