糖度高めな秘密の密会はいかが?
───午前中の仕事が終わり、今は社員食堂でランチタイム。

「…でね、お正月は実家に帰ったから高橋君とは会わなくて、今日久しぶりに会ったの」

午後からエリアマネージャーと同行の為、サンドウィッチを急いで頬張りながら話す綾美。

「高橋さんと上手くいってるんだね」

「…そぉだね。今までで一番堅実な人だし、同じ会社だからいつでも会えるしね。旅行も一緒に行きたいけど、有給が一緒に取れるか分からないから…一人で行くかも?」

「一人で?どこに行く予定?」

綾美は行動派なので、思い立ったら即行動で一人でも関係なしに旅行に行ったりする。

「決めてないけど…国内でもいっかなぁ。帰りに旅行会社のパンフ貰うよ…。と、もう用意しなきゃヤバイ!ごちそうさま、またね、ゆかり」

13時丁度に本社待ち合わせらしく、慌てて職場に戻る綾美に別れを告げると、私は一人でのんびりしていた。

綾美と高橋さんは順調に交際をしているらしく、微笑ましい。

高橋さんは良い人そうだし、今までで一番、綾美を大切にしてくれると思う。

「あれ?綾美さん行っちゃいました?」

「はい、ついさっきですけど…。午後から同行みたいで」

惜しくも時間差で現れたのは高橋さんだった。

いつの間にか、"杉野さん"から"綾美さん"に呼び方が変わっていて指摘したかったけれども、そっとしておこう。

「そうですか…。お昼ご一緒してもいいですか?席が空いてなくて…」

「どうぞ。私も綾美が居なくて退屈してましたので…」

綾美が居なくなり、私はひとりきりで4人掛けの席に座っていた。

肩身が狭かったので高橋さんが来てくれて良かった。
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