糖度高めな秘密の密会はいかが?
「そうか、残念だったな。杉野と俺と秋葉と一緒に出かける予定だったし。高橋は行かないのか…なら仕方ないか!」

な、何なんだろう、その意地悪な返事の仕方は・・・。

高橋さんがB定食に付いてきた煮物の里芋を箸でつまんだが、困惑していて食べる気がおきなくなったのか、里芋を皿に戻してから箸をトレーに置く。

「え…?どういう事?何で日下部さんと秋葉さんと三人で出かけるの?」

日下部さんは性格が歪んでいるのか、困惑する高橋さんを見て嬉しそうに笑っている。

「春からブライダルに参入するので、ブライダルフェアにお呼ばれしたんですよ。日下部さんも素直に"綾美も行くから一緒に行こう"って言えないんですか?」

私は抹茶プリンを食べながら、日下部さんにつっけんどんに言う。

私と二人きりにならない様に二人を誘ったのかもしれないが、高橋さんを応援したい気持ちも健在していただろうから、それならそうとストレートに誘えば良いのに。

高橋さんの為にって見透かされたくなくて上手く誘えなかったのか、単にからかいたかっただけなのか・・・。

「そうなんですか…!もちろん、行きます」

高橋さんの目がキラキラと輝いて見える。

綾美と一緒に出かける事がよっぽど嬉しいのだろう。

「じゃぁ、交代で運転な!」

「まさか…それが目的じゃ…」

喜びに満ちている高橋さんにとどめの一撃を放ち、優越感に浸っているかの様な日下部さんは本当に性格が悪いと思う。

『レンタカーを借りようか?』とは言っていたが、まさか高橋さんにも運転させるとは思わなかった。

高橋さんの言った"目的"も誘う理由の中の正解の一部だろう。
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