糖度高めな秘密の密会はいかが?
楽しいだけで流された様に半同棲生活に近い事をしていたけれど、付き合ってまだ3ヶ月にもならないし、今後の事を考えてみよう。

会えない日々は寂しいけれど、これからも有澄と一緒に居られる様に───・・・・・・

「ゆかりは紅茶にする?」

「うん、ミルクティにしたい」

ファーストフード店は座る場所もなく混んでいたので、直ぐ近くにあるパン屋さんに入った。

スーツを来てパンを頬張る有澄を見ると、新鮮な感じにドキドキする。

「…見られてると食べにくい」

「…ご、ごめんなさいっ」

私はパンを手に持ったまま見入ってしまった様で、有澄が照れて頬が赤くなる。

「そうだ、言ってなかったと思うけど…来月、部長とブライダルフェア行くの。もちろん、仕事だけど…」

「二人で行くの?」

カフェオレに砂糖を入れて、乱雑にクルクルかき混ぜながら横目で見られる。

絶対、機嫌悪くなったパターンだな。

「二人なら行かないよ。同期の子と彼氏も行くよ」

「そっか、なら安心」

「……?香坂君が心配する事は何もないよ」

日下部さんとは"何もなかった"とは完全に言いきれないけれど、今度は綾美と高橋さんも一緒だから"何もない"よ。

「香坂君じゃなくて、有澄でしょ」

ヤキモチ妬いて拗ねてる・・・?

「ヤキモチ妬いてる…?」

「だいぶ、ね。仕事とは言え、ブライダルフェアに部長と行くのは何か嫌だ…」

「有澄のキャバクラよりはマシだよ」

「……やっぱり、根に持ってんじゃん!」

根に持ってる・・・というよりは、私もヤキモチ妬いただけ。

知らない間に知らない人と過ごす───職場が違えば当たり前の事だけれども、見えない分、余計な勘ぐりを始めてしまう。
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