糖度高めな秘密の密会はいかが?
糖度7*ちょっと遠出のお仕事
2月に入って最初の日曜日。

今日はブライダルフェアに皆で行く日。

アパートまでお迎えに来てくれると言っていたので待って居たのだが、出かける30分位前に事態は急変。

「だから、何で来たの!?仕事に行くって言ってるでしょ!」

「こないだも電話で言ったけど、結婚相手が居ないならお見合いでもしなさい。仕事もいいけどね、婚期逃すわよ!」

年明けにかけてきた電話を一方的に切り、音信不通にしていた私。

音信不通にしていたのだって"結婚"ってうるさく言うからだよ!

お母さんが連絡もなしに突然訪ねて来たと思ったら、案の定、結婚の話でうんざり。

スマホもさっきから着信がきてるみたいで音が鳴ってるのに、うるさくて出れない。

時計を見たら、お迎え時刻を10分を過ぎても私が外に出てこないから着信があったのだろう。

「とにかく、また連絡するから。これから仕事行かなきゃいけないから帰って!」

お母さんを部屋から追い出そうとしたら、玄関のチャイムが鳴った。

インターホンのカメラを覗くと、日下部さんだった。

どうしよう?どうしよう?

頼むから勝手に開けないでよ、お母さん!

なかなか開かない玄関のドアをドンドンと叩く音が聞こえて、

「秋葉?どうした?」

と日下部さんが部屋に向かって話かけている。

阻止しようとしたが失敗して、母が勝手に扉を開けてしまった。

「…あら、まぁ?もしかして、ゆかりの彼氏じゃないですよね?」

「お母さん、ちょっと!!違うってば!私の上司の日下部さん」

お互いに驚いた様子だったが、日下部さんは対応するのが早く、お母さんに挨拶する。

「おはようございます。秋葉さんと同じ職場で働いている日下部です。車で仕事に向かうので、お迎えに来たのですが…」
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