糖度高めな秘密の密会はいかが?
───やっとの思いでお母さんを追い返し、いざ出発。

車に乗り込むと、私は事情を話してひたすら謝った。

「ごめんなさいっ、本当に待たせてしまいごめんなさいっ」

「大丈夫ですよ、時間に余裕を持って待ち合わせしたんだし…」

高橋さんが運転する車に助手席が綾美、後部座席には私と日下部さんが座っている。

高橋さんの運転は、優しい性格が現れているかの様に穏やかで眠くなりそうな心地良さ。

・・・が、しかし、隣が日下部さんってゆーのが困りモノ。

車の中でもタブレットで仕事してるよ・・・酔ったりしないのかな、この人。

「秋葉の分の紅茶。早く取って!」
「は、はい。ありがとうございます」

横目でチラチラ見ていると、紅茶を渡されたのだが、渡す時ぐらいはタブレット置いたら良いのに・・・。

「あーぁ。秋葉のせいで、クリア失敗した。最悪!」

「はぁ!?仕事してたんじゃないんですか?」

「出かける時まで仕事しないって。秋葉のせいで、レアが逃げた」

タブレットを伏せてうなだれている。

何で私のせい?

「秋葉さん、日下部さんね、パズルゲームのモンスター集めしてるんですよ。仕事中は機械人間みたいに表情変わらないけど、プライベートでは人間らしい事もするんですよ」

「今日はもっと人間らしい部分が見られるよ!ゆかりの反応が楽しみだけど、私達は遠慮したいよね、高橋君」

「そうですね、怖かったですよね」

前方から、冗談混じりに交互に話す二人。

日下部さんがパズルゲームをするのも意外だったけれど、プライベートで人間らしい事で怖い事って何だろう?

「お前ら、いい加減な事言うな!」

「きゃー、怒った」
「本当の事言われたからですよ」

「たーかーはーしー!!」
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