糖度高めな秘密の密会はいかが?
日下部さんは頬杖をついて外の景色を眺めて、聞こえない振りをしている。

「く、日下部さんがムキになってるだけだし…」

「お前が下手くそなんだし!」

綾美の発言への返事に困り、お互いに苦し紛れな言い逃れをする。

私の心はモヤモヤしていて、紅茶を飲みながら外の景色を眺める。

日下部さんとは反対方向の景色。

これから私達は別な人と結婚したりして、反対方向の景色に歩んで行く事になるのだろう。

そうなった時に祝福出来るのだろうか?

友達の様な同期のままで居られるのだろうか?

「…難しいよね」

「何が?ゲームが?」

私は心の中の声をいつの間にか、外に漏らしていたらしく、その声を日下部さんが拾ってしまった。

「そ、そうです。ゲームがね、難しい!」と慌てて、話を合わせる。

「お前もやればいいじゃん。お前もやれば、モンスター交換とか体力回復のスターを送り合ったり出来るし。高橋も杉野もやってる」

・・・・・・この人達、一体、いつから一緒に始めたの?

普段、そんなのやってる暇あるの?

謎だ。

「私、やる暇ないもん」

「ゆかりはね、暇さえあればデザイン考えたりしてるもんね~」

「ソレもそうだけど…」

ゲームよりも、有澄との時間を大切にしたいから・・・。

一緒に居る時は沢山会話したいし、料理のレパートリーも増やしたいし、頭の中を有澄でいっぱいにしたい。
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