糖度高めな秘密の密会はいかが?
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「あれ?こないだのホテルじゃないんですね?」

車から降りると、先日の忘年会会場になったホテルではなく別の場所に見えた。

見覚えのない景色だったので不思議には思っていたけれど、目的地は違った様だ。

「先日のホテルと同じ系列だが、こっちはリゾートホテル」

へぇ・・・どおりで高速にも乗ったし、海辺にも近いとは思った。

「今の今まで気づかないなんて…」

日下部さんは呆れ顔で私を見る。

「そこがゆかりの良いところだよ。たまに天然なところが好き」

綾美はフォローしてくれるが、行き先を知っていたのかが気になる。

「綾美は知っていたの?」

「うん、高橋君から聞いてたから知ってたよ」

「そっか…」

何故、私には誰も教えてくれなかったのだろう?・・・と思いながら、ブライダルフェアの会場へと向かった。

担当者を待っている間、窓から外を眺めているとチャペルが見えた。

都会の結婚式場のチャペルは建物の中にある場合も多いが、都会から少し離れたこのホテルはチャペルが外にある。

模擬挙式が行われているのか、チャペル付近が賑わっていた。

「お待たせ致しまして申し訳ございません。私はブライダル担当の小野と申します。本日はお越し頂きありがとうございます」

ブライダル担当の小野さんという30代前半だと思われる女性は、私達一人一人に名刺を渡して日下部さんも私達の紹介をした。

「右から杉野、高橋、デザイナーの秋葉です」

「あなたが"いろは"のデザイナーさんなのね。私は"いろは"の雑貨が大好きでつい集めちゃうんです。可愛らしい方が考えるとデザインも可愛くなるのね」

小野さんは私の右手を取り、軽く握って両手で覆いかぶす様に握手をした。
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