糖度高めな秘密の密会はいかが?
「どうぞ、お座り下さい。先程は次期、副社長の方もお見えになりまして、ブライダルフェアを拝見頂きました。まだ近くにいらっしゃると思いますが、お会いになりましたか?」

「いえ…」

日下部さんが相づちを打つ。

次期、副社長とは一体?

5年間勤めているが、彩羽コーポレーションの副社長自体を見た事がない。

「本日お呼びしたのは、新たな商談の件です。リゾートウェディングが近年増えていまして、我がホテルが関東圏のオススメランキング1位になりました。

そこでお願いがありまして、大好きな"いろは"雑貨がウェディング参入との事もあり、我がホテル限定のプチギフトや"丸ごといろは"プランを考えております。

次期、副社長様がお見えになったのもこの件についてで御座います」

私は出された紅茶を片手に真剣に聞いていた。

「4月からのブライダルフェアでは"いろは"の引き出物カタログなども展示しますし、夏から秋ぐらいまでに段々と拡大して行けたら良いなと考えております。こちらが今回の件の企画書で御座います。目を通して頂いて、後日ご連絡頂ければと思います。もちろん、デザイナーは秋葉さんにお願いします」

「ありがとうございます。デザイナーの秋葉が中心となって進めていたウェディング企画ですから、前向きに検討させて頂きます」

との日下部さんの返答。

今までデザイナーとして働いてきだけれど、老若男女の不特定多数の方々に見て頂ける、そんな夢の様な企画。

嬉しい、通り越して、感動。

感動、通り越して、驚愕!

「ありがとうございます、精いっぱい頑張らせてください!」

有澄に今すぐ報告したい。

この喜びを分かち合いたくて、顔がほころぶ。
< 91 / 216 >

この作品をシェア

pagetop