俺がずっと守るから
「し、椎名…」
たった今の三芳くんのことでどことなく李樹と会うのが気まずい。
けどそんなことを李樹が知るわけもなく、彼は私の腕に抱えられたヤマトを見て怪訝な表情を浮かべた。
「客間へヤマトを連れて何の用です?まさか、まだ三芳様がいらっしゃるんじゃないでしょうね?」
不機嫌な李樹の言葉が突き刺さる。
言ってもまだ20時になろうとしている時間だ。李樹が心配するほどの時刻ではない。
「もう少しだけよ」
「いけません」
「椎名。心配しないで」
「しかし、」
私が何と言っても李樹が引き下がる気配はない。
…そこまで三芳くんが気に入らないのか。
私を心配してくれてのことだろうけど、それはあくまでもボディーガードとして。
恋人がヤキモチを妬いてくれているのとは訳が違うことくらい理解できている。
「分かった。20時には帰ってもらうから」
それでも私は、李樹のために動きたいと思ってしまう。
安心させるかのように李樹にそう宣言してしまった私は、もう自分の重症加減に呆れるしかなかった。
「お帰り、彩葉ちゃん」
「…ただいま」
客間へ戻った私は、まず20時までに帰ってほしいことを三芳くんに伝えた。
理由は、賢木に言われたからだと適当に嘘をついて。