俺がずっと守るから
それなのに。
「ん、分かったよ。けど彩葉ちゃん、」
「何?」
「それ言ったの、賢木さんじゃなくて椎名クンだよね?」
「…へっ!?」
三芳くんにはどうやらその嘘が通用しなかったらしい。
私の反応を見て「やっぱりかぁ」なんて呟きながら、すっかり膝の上で安心してゴロゴロ鳴いているヤマトを撫でる三芳くん。
「主人が使用人に従順になってどうするの、彩葉ちゃん」
「あ、あははは…」
「笑い事じゃないって」
なんて言いながら三芳くんも笑みを浮かべる。まぁ、苦笑の方だけど。
「仕方ない、今日は大人しく引き上げるか。彩葉ちゃんにプロポーズも出来たことだし」
「ぷ、プロ…!?」
「言ったでしょ?結婚しようって。ま、言わなくても結婚する運命だけどね」
ケラケラと笑う三芳くんは本当に楽しそうだ。
こうして聞いてると本気なことを忘れてしまいそうなくらい。
「じゃ、もう帰るよ」
けど、それを忘れさせてくれないのが三芳くんの凄いところらしく。
「じゃあまた明日、未来の花嫁」
────ちゅ、
「なっ…!!」
三芳くんは、私の髪にキスを落としてから帰っていった。