俺がずっと守るから
◆ ボディーガードの役目
* 李樹 side **
後悔してるか、と聞かれれば、今の俺は後悔の塊でしかないと思う。
もし俺も彩葉も普通の高校生であったなら、俺は間違いなく彼女を手放すことはしなかった。
「へぇー。じゃあもう彩葉ちゃんと椎名クンは恋人のフリから友達のフリに格下げになったんだ」
「…うん、まぁ」
俺の目の前で繰り広げられる会話。
今は登校中なのに、俺はもう彩葉には触れられない。
「じゃあ俺と付き合う?彩葉ちゃん」
「嫌ですー」
「うわ、バッサリ」
クスクスと笑う三芳と、その横で同じく微笑んでいる彩葉。
普段はそんな会話が繰り広げられていても、俺の手には彼女の小さな手が収まっていたのに。
…嫉妬を、その小さな幸せで紛らわすことが出来ていたのに。
今の俺には、ただそばでお嬢様を守るということしか出来なくなってしまった。
自分でも最低だな、という自覚はある。自業自得だと。
それでも、一介のボディーガードが名家のお嬢様に手を出していいわけがなかった。