俺がずっと守るから
喧嘩している、という認識は周りにはないらしい。
それもそうだろう。
散々溺愛してた俺が、彩葉に過剰に近付かなくなったんだから。
昼休みになれば、彩葉は関本と三芳と、俺は輝とで別れて食事を取るまでに離れてしまった。
「どーすんだよ、李樹。三芳に彩葉取られるぞ」
「…取られるも何も、元々ただの契約だし」
「お前なぁ、いい加減シラ切るのやめろよ」
イラついた様子で輝が問いかける。
分かってるんだ、輝も。俺が彩葉を想っていることを。
けど俺は
「何のことだよ。俺はただのボディーガードだぞ?」
この想いを口にするわけにはいかない。
「あーもう、お前見てるとイライラする!あんなに彩葉のことに過剰なお前がただのボディーガードな訳ないだろ!?」
「っ、うるさいよ、輝」
「そりゃうるさくもなるっての!身分差だか何だか知らねーけどいい加減素直になれ!」
はぁ、はぁ、と言い切った様子の輝は再び弁当を食い始める。
俺も箸を進めはするが、視線は常に彩葉に向いていた。