俺がずっと守るから
ずっと俺に向けられていたはずの笑顔が、三芳に向けられている。
それだけでどうしようもなく苛立つくせに、俺にはもうどうすることもできなかった。
好き、と。
彩葉にそう言われる度、どれ程同じ言葉を返したかったことか。
言いたくなんてなかった。
毎回毎回突き放すような言葉で彩葉を泣かせていた事なんて承知の上だ。
頭では分かっている。
俺は彩葉に想いを伝えるわけにはいかないと。
けど。
「…っ、」
─────ガタン、
「え、おい、李樹…!?」
体は、反射的に動いてしまう。
「───彩葉に触るな」
そしてそのまま俺は、三芳の手首を掴んでそう言っていた。
どういう流れだったのかは知らないが、三芳の手で彩葉の肩が抱かれていたことにたまらない嫉妬心が芽生えたんだ。