俺がずっと守るから
「いいんじゃない?司さん。挨拶回りまではまだ時間があるし。私も彩葉ちゃんと久しぶりにゆっくり話したいわ」
「まぁ、麗美がそう言うなら」
麗美さんの言葉に了承したらしい兄様は、李樹を連れてこの場をあとにする。
そんな李樹の背中が離れていくのを目で追っていると「そんなに気になる?」と麗美さんが笑いかけて来た。
「…や、そんなわけじゃ…っ」
「彩葉ちゃんってば分かりやすーいっ!」
可愛いなぁ、とクスクス笑う麗美さんは、兄様と同様に言葉にしなくても私の李樹への想いに気付いているタイプ。
私も私で、別にそれを隠すつもりもなかった。
「距離、置いてたんです。最近まで」
ポツリと言葉が漏れる。
急に話し出したにも関わらず、麗美さんはそれをしっかりと聞いてくれた。
「それなのに、り…椎名の言動にいちいちドキドキさせられて。これ以上傷付きたくなくて離れたはずなのに、どうしてもそれができなくて…」
勝手に話しはじめたのは自分なのに、並べた言葉は支離滅裂。
結局何が言いたいのかも分からずに話した私に、麗美さんはよしよしと頭を撫でてくれた。