俺がずっと守るから
「あと、本当にもう少しだから」
だから、と李樹は言葉を続ける。
「待ってて、彩葉」
この前にも言われたことなのに。
こんなにも胸が甘く疼くのは何でなんだろう。
そんなこと言われてしまったら、少し期待してしまう。良い方向へと考えてしまう。
今直ぐにでもこの手を取って、それを聞いてしまいたい。
「分かったよ、李樹」
けど、ちゃんと待つよ。
李樹がそこまで言うんだもん。私だってちゃんと待つ。
そう返事をした直後。
────ポン、と。
李樹が私の頭を撫でてくれた。
優しくて、その幸せな感覚に胸がいっぱいになる。
私、ちゃんと待ってるから。
李樹との約束を守るため、私はその腕の中へと飛び込みたくなる衝動を必死に抑えたのだった。