俺がずっと守るから



「あ、椎名クンはそこで待っててね」

「…は?」

「はい、怖い顔しないの。すぐまた呼ぶから」


そう言って部屋の扉の前で李樹を待たせれば、バタン、と扉を閉めてしまった三芳くん。




「あの…、えっと」

「あはは、そんなに警戒しなくていいよ」



すぐ済むから、と部屋のクローゼットを物色する三芳くんは、もう完全に私達を自分のペースへと巻き込んでいた。




「私、三芳くんに言いたいことがあって…」

「うん、何?」


もう今の状況がよくわかってないけれど、折角の機会。



何やらずっと作業をしている三芳くんに、私は話しかけた。




「ありがとう。…色々と」

「……」



ピタ、と一瞬三芳くんの動きが止まる。


けどすぐにそれは元に戻って。



「そんなこと言ったら、好きなの諦められなくなるでしょ?」

「な…っ」

「クスッ、冗談だよ」



いつものように、三芳くんはクスリと笑ってくれた。



< 163 / 193 >

この作品をシェア

pagetop