俺がずっと守るから
「俺がそばにいながらお嬢様を危険な目に合わせてしまいました。完全に俺のミスです。本当にすみませんでした」
李樹はそう言って頭を上げようとしない。
李樹は悪くない。
そう言おうと起き上がった私を、父様が止めた。
「椎名」
「…はい」
父様の、鋭い声が李樹を呼ぶ。
「確かにお前は娘を危険な目に合わせた。ボディーガードなのに、だ」
「…っ、申し訳ありません」
李樹の声が震えたのが分かる。
それでも、李樹は頭を下げたまま。
「だがな、椎名」
そんな彼の頭を、父様はポンと撫でた。
「娘を救ってくれたのも、お前なんだ。他の捜索隊よりも誰よりも早く、お前が娘を救ってくれた。犯人だって捕まえてくれた」
「…っ、」
「ありがとう」
それに合わせて、母様も感謝を告げた。
私も言わなければいけない。
「椎名、顔を上げて。こっちへ来て」
「…はい」
そう命ずる私に李樹はゆっくりと顔を上げ、ベッドのそばまで歩み寄る。