俺がずっと守るから
大方、李樹の存在が大きいからなんだろうけど。
…ていうか、こんな会話を教室の前でやればそれなりに注目は浴びても仕方ないよね。
「えっと、な、中橋くん…?ごめんね、これは受け取れな─────」
「────受け取れないな」
断ろうと発した私の言葉は、言い切る前に別の声によって遮られた。
え?と疑問に思うより先に視界が揺れ、体が温かい体温に包まれる。
「皆月彩葉は椎名李樹のもんだって、聞いたことない?」
私を腕の中に閉じ込めた李樹は、そう中橋くんに言い放った。
「り、りき…っ?」
いると思っていなかった李樹の登場に、きっと中橋くんよりも誰よりも私が一番驚いたと思う。
周りから、キャーと冷やかしの声が聞こえた。
「え、いや、えっと…」
「俺の彩葉に何か?」
吃る中橋くんに、李樹はニコリと恐ろしいほどの笑みを浮かべて私の手の中にあった紙切れをグシャっと潰す。