俺がずっと守るから
「三芳くんってどこから来たの?」
「ロンドンだよ」
「え、てことはイギリス!?凄いね〜っ」
朝のSHRが終われば、彼はあっという間にクラスの女子に囲まれる。
帰国子女だというから少しは心配していた日本語も、彼は流暢に話していた。
誰も彼が財閥の御曹司だなんて気付いていない。
もしそんなことまで知れ渡れば大変なことになるんだろうな、なんて。
「こんな一般の高校によく転校を認めたわね、彼」
「彩葉も人のこと言えないけどな」
「ていうか2人とも、それなりに失礼な発言してるって気付いてる?」
教室の端で、私は李樹と光里と話しながらニコニコ笑う三芳くんを眺めていた。
昼休みが始まった頃には、全学年に知れ渡ったらしい三芳くんの噂で持ちきりだった。
「うわっ、王子様みたい〜」
「イギリスから来たって、もしかして貴族!?」
「「「素敵過ぎる〜…」」」
はぁ、と恋する乙女の如く彼を見てため息を吐く女生徒達にもう呆れて笑いも出ない。
相変わらず女子に囲まれている様子の三芳くんは、どうやら私の存在には気付いていないらしかった。