俺がずっと守るから
分かっている。
李樹が握手を許した理由くらい。
彼が、三芳くんが、私の婚約者だから。それ以外に何があるというんだろう。
そんなことは分かっていても、なんだか少しショックだった。
「じゃあ、よろしく」
「うん…よろしく」
そっと、三芳くんが私の手を握る。
この時の私は三芳くんという婚約者との握手よりも、李樹のことが気になって仕方なかった。
***
「お帰り、彩葉ちゃん」
「え、なんで…?」
学校が終わり家に帰れば、何故か私と李樹よりも先に三芳くんがうちにいた。
賢木の計らいで客間に通せば、私の隣にいた李樹を見て「そういうことか」と納得の声を漏らす。
「君、ボディーガードだったんだね」
「えぇ」
頷く李樹に、三芳くんはクスリと笑った。
「なるほどね。やっと婚約者を見つけたと思ったら彼氏がいるなんて、びっくりしたよ」
「申し訳ございません。学校内だったので本当のことをお伝えするタイミングが」
「あーいいよいいよ。一般学校での警護なんて彼氏役でもしないと務まらないもんね」
事情は分かったから、なんて言って三芳くんは賢木の淹れたお茶を飲む。
案外納得の早い彼に、思わず感心してしまった。