俺がずっと守るから
「あ、あのっ」
「ん?」
声をかければ、三芳くんはカップから私に視線を移す。
それだけの事なのに絵になってるように見えるのは、彼が帰国子女だからなのだろうか。
「三芳くんって、どこまで聞いてるの?」
「え?」
「だから、今回の婚約のこと…」
どんどん衰退してしまう声。
そんな私の声も上手く聞き取ったらしい彼は、そっとカップを置いた。
「多分彩葉ちゃんと同じくらいだと思うよ。婚約者がいるからその彼女がいる高校に転校しろって。俺は名前も聞いてたけど」
「そ、そうなんだ」
「ま、こんなに素敵な婚約者だったとは聞いてなかったけどね」
ニコリと笑う彼に、愛想笑いを返すしかない。
「三芳様。そういうのはちょっと…」
「ん?別に俺は本当のこと言っただけだけど?」
「だって可愛いし、彩葉ちゃん」なんて笑う彼は、よほど慣れていると見た。
それには李樹も気付いたのか、それ以上口を出そうとはしない。