俺がずっと守るから
「李樹、命令よ」
それでも、私はそれをやめない。
命令なんて使いたくないけど、でもそれ以上に、私は李樹にボディーガードとして接して欲しくないから。
「…彩葉」
「うん」
「手、離して」
「やだ」
李樹が私の名前を呼んでくれても、今は離す気はなかった。
「李樹、このまま聞いて」
「何?」
大好きな人の温もりを感じながら、私は口を開く。
「私は、李樹が好きだから」
「……」
「婚約の話だって私は認めない」
だから、と言葉を続ける。
「李樹も私を見て」
真っ直ぐに言葉をぶつければ、ようやく私はゆっくりと手を離した。
それに合わせて、李樹も私に体を向け目を合わせてくれる。