俺がずっと守るから



「李樹、命令よ」



それでも、私はそれをやめない。



命令なんて使いたくないけど、でもそれ以上に、私は李樹にボディーガードとして接して欲しくないから。





「…彩葉」

「うん」

「手、離して」

「やだ」



李樹が私の名前を呼んでくれても、今は離す気はなかった。




「李樹、このまま聞いて」

「何?」


大好きな人の温もりを感じながら、私は口を開く。




「私は、李樹が好きだから」

「……」

「婚約の話だって私は認めない」



だから、と言葉を続ける。




「李樹も私を見て」




真っ直ぐに言葉をぶつければ、ようやく私はゆっくりと手を離した。





それに合わせて、李樹も私に体を向け目を合わせてくれる。



< 59 / 193 >

この作品をシェア

pagetop