俺がずっと守るから
「お嬢様」
「…っ、」
瞬間、彼の口から出た第一声に、あぁ、と思った。
私への呼び方が戻ってしまった以上、もう次に来る言葉は大体予測できる。
「俺は貴女のボディーガードです」
やけに芯の通った声。
泣きそうになるのを必死で抑えて、「知ってるわ」なんて無駄な強がりを言ってみた。
三芳くんのことを心配してくれたみたいだから、少し期待してしまったんだ。
李樹の中では、一ボディーガードとして心配しただけだったのにね。
「もういいわ、下がってちょうだい。引き止めて悪かったわ」
「…いえ」
ぺこりと私に1度頭を下げて、李樹は部屋から出て行く。
ドアの閉まる音が聞こえたと同時に、私はバフッとベッドの上に飛び込んだ。
「…李樹のばか」
呟いたところで、誰も拾ってはくれない。
「ばか、あほ、まぬけ、おたんこなす」
それをいい事に、私は悪態をつき続けた。
視界が少しぼやけてることには、気付きたくなかった。