俺がずっと守るから
「ははっ、ダメだ。ククッ、彩葉ちゃん面白すぎる…っ」
「…え?え?」
混乱する私をよそに、これでもかと三芳くんは笑う。
膝の上にいたヤマトも流石に驚いたのか、テーブルの下に逃げてしまった。
「はーごめんごめん。いや、彩葉ちゃんが余りにも真顔で言うもんだから、つい」
「それにしても笑いすぎじゃないかな…」
「だから悪かったって」
そうは言いつつも肩を揺らすこの人は、多分ちっとも悪かったとは思っていない。
「久しぶりだったんだよ、表情読み取られるの。まぁちょっと過剰すぎたけどね」
「え?」
笑いすぎたせいかうっすらと滲んだ涙を拭って、三芳くんはニコリと笑った。
「バカにはしてないよ。ちょっとしか」
「やっぱりバカにしてるじゃん」
「あははっ」
それでも楽しそうに笑い声をあげる三芳くん。
挙句には「ますます結婚したくなったよ」なんて言い出した。
「報われない恋なんてやめて俺を好きになれば "恋愛結婚" 叶うんじゃない?」
「報われなくても私は李樹のそばにいるの!」
「やっぱりバカだね、彩葉ちゃん」
「ほら、やっぱりバカにしてるじゃん」
言葉は変わらないのに、少しだけ砕けてる気がする。
それからしばらく笑った後、三芳くんはいつものようにふらっと帰って行った。