俺がずっと守るから



「ははっ、ダメだ。ククッ、彩葉ちゃん面白すぎる…っ」

「…え?え?」



混乱する私をよそに、これでもかと三芳くんは笑う。


膝の上にいたヤマトも流石に驚いたのか、テーブルの下に逃げてしまった。




「はーごめんごめん。いや、彩葉ちゃんが余りにも真顔で言うもんだから、つい」

「それにしても笑いすぎじゃないかな…」

「だから悪かったって」



そうは言いつつも肩を揺らすこの人は、多分ちっとも悪かったとは思っていない。




「久しぶりだったんだよ、表情読み取られるの。まぁちょっと過剰すぎたけどね」

「え?」



笑いすぎたせいかうっすらと滲んだ涙を拭って、三芳くんはニコリと笑った。




「バカにはしてないよ。ちょっとしか」

「やっぱりバカにしてるじゃん」

「あははっ」


それでも楽しそうに笑い声をあげる三芳くん。




挙句には「ますます結婚したくなったよ」なんて言い出した。




「報われない恋なんてやめて俺を好きになれば "恋愛結婚" 叶うんじゃない?」

「報われなくても私は李樹のそばにいるの!」

「やっぱりバカだね、彩葉ちゃん」

「ほら、やっぱりバカにしてるじゃん」




言葉は変わらないのに、少しだけ砕けてる気がする。



それからしばらく笑った後、三芳くんはいつものようにふらっと帰って行った。




< 69 / 193 >

この作品をシェア

pagetop