俺がずっと守るから
「ねぇ」
「何でしょう?」
李樹の教え方はとってもわかり易くて、正直先生に教えてもらうよりいい。
けど、1つだけ不満があった。
「敬語やめてよ。お嬢様呼びも」
毎回のことだけど、李樹が私の名前を呼んでくれないこと。
折角一緒に過ごしているのに、これだと嬉しさ半減だ。
「しかし、」
それでも変に私との距離を保とうとする李樹は、部屋にお茶を淹れに来てくれた賢木の方をチラッと見る。
「私の前では構いませんよ」
その視線に気付いたらしい賢木は、ニコリと笑顔でそう言った。
「彩葉様がそうお望みであれば、私はとやかく言いません」
「流石だわ、賢木」
賢木の言葉に、流石に李樹も観念する。
「分かったよ、彩葉」
「えへへっ」
やっと名前を呼んでくれれば、私は嬉しくて口が綻んだ。
「じゃあ続きやるぞ」
「うん!」
それからの李樹は、特に敬語を使うこともなく私に勉強を教えてくれた。