俺がずっと守るから



ずるい。


まず浮かんだ言葉はそれ。




「ばか…っ、りきなんか…、李樹なんか…っ」



我慢しきれなくなった涙がボロボロと溢れる。



今までも何度もはぐらかされてきたけど、これはあんまりだ。


ただただ虚しい。





─────コンコン、

「…っ!」


そのタイミングで、扉をノックする音が聞こえた。



賢木だろうか。




涙を拭って顔を上げる。


「もう寝るわ。用ならまた明日にしてちょうだい」


涙声を必死に抑えて、あくまでも平静に扉に向かってそう言い放った。



いくら賢木だろうとこの顔じゃ今は誰にも会えないし、会いたくない。


だから帰ってもらおうと、そう言ったのに。




─────ガチャッ



「っ、ちょっと…!いくら賢木でも勝手に………───え?」



その扉は開いて、中へと人が踏み込んできたんだ。



< 79 / 193 >

この作品をシェア

pagetop