俺がずっと守るから



もう心の何処かでは気付いてる。


この感情の正体が何なのかくらい。




くだらないと思っていたはずの感情が、まさか自分にも芽生えるとは思わなかった。





─────彩葉ちゃんは、俺が幸せにする。





そう決意した俺は、目の前で泣き続ける婚約者の頭をそっと撫で続けた。





***




「おはよう、彩葉ちゃん」

「あ…。お、おはよう、三芳くん」



結局、彼女が泣き止んで俺が帰ったのは0時を過ぎた頃だった。


婚約者とはいえ泊まるわけにもいかず、翌朝である今、再び皆月家の門前で待っていたんだけど。




「おはよう、椎名クン」

「おはようございます。三芳様」



出て来た2人は、相変わらず手を繋いでいることに拍子抜けしてしまった。



彩葉ちゃんは彼に対しても俺に対しても気まずそうな表情を浮かべているが、肝心の椎名クンは恐ろしいほどにいつも通り。




彼もこの家の別棟で暮らしていると聞いている。


自分の仕えているお嬢様の部屋に夜中まで婚約者がいたことくらい、耳には入っているだろうに。



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