俺がずっと守るから



まぁ、あれだけ彩葉ちゃんを泣かせておいてその溺愛加減は気に食わないけどね。




「痛い目見たくなかったら人の女には手を出さないことだな」

「ははっ、怖いなぁ」



そんな俺の気持ちを読み取ったのか、そう言い放つ椎名クン。


俺はあくまでも笑って誤魔化しているが、内心は背筋がゾクッとしていた。




殺気。


それも、とてつもないくらいの。




実際も彼は空手のかなりな有段者。


周りが "殺される" という意味がわかった気がする。



立場では勝てても、力では勝てないことくらい自覚済みだ。




「ズルいね、椎名クン」


それでも、自分の口からそうポロッと出してしまう。



その言葉に隣にいた彩葉ちゃんが僅かに反応したのを見逃さなかった。




幸いこの言葉はこの場にいた4人にしか聞こえていない。


けど、この4人には俺の言葉の意味が分かっているようだった。




…特に、彩葉ちゃんは。



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