あの日の約束を、君ともう一度
「あ、これ持ってったら、先生の椅子準備して、あとは部員の練習のサポートだから。」
...練習のサポートって何だろう。
ボール拾いとか?
でも拾う場面なんてあるの?
体育館に入ると、もう部員達はモップがけまで終わり、自主練習を始めていた。
「「「こんにちは!!」」」
部員が声を揃えて挨拶をする。
それに驚いて、無意識にのうちに姿勢が正しくなる。
「...沙耶香ちゃん、あの人が顧問の長谷川(はせがわ)先生だよ!部員には怖いけど、マネには優しいから安心して!」
「あの人が長谷川先生...。分かりました!挨拶してきますね!」
里依紗先輩が頷いたのを見て、先生の元へ駆け足で向かう。
「あ、あの長谷川先生!」
「ん?...あぁ染谷?」
「え...知ってるんですか?」
「染谷のことは前から知ってたよ。...県内でバスケがずば抜けて上手い中学生って、有名だった。」
また心がズキンと痛む。
でもそう言われて当然。
「なにがあったのかは知らないけどね。とりあえず、仮マネージャーとしてよろしくね。」
「...はいっ!よろしくお願いします!」
私はペコッと頭を下げると、先輩たちのいる場所に、走って戻った。
里依紗先輩が、『部員には怖い』なんて言うから、てっきりもっと怖い感じなんだと思っていた。