あの日の約束を、君ともう一度
「えっと、私なにをすれば...?」
「うーん...この時間はなんもやることないんだよねぇ。練習始まるまで待ってて!」
「はい!」
部員達は楽しそうにバスケをしている。
いいな...。私もやりたい。
もう出来ないのに。
「さ...ちゃん!...さや...ん!.....沙耶香ちゃん!」
「!はいっ!」
突然大声で里依紗先輩に呼ばれて、私がぼーっとしていたことに気づく。
「...やっぱりバスケやりたい?」
咲先輩が無表情でそう言った。
無表情なのに、どこか暖かい。
「...やりたくないって言ったら嘘になりますけど、できないんで仕方ないです」
咲先輩から床へと視線をずらす。
「...ホントはね、私達もやりたいんだ。」
「え...?」
床から再び視線を上げる。
目に映った咲先輩は、部員達を眺めていた。
「...ほら、ここって強豪でしょ?私達はさ、あんまり強くなかったから、ここでバスケ部に入ってもついていけなかったと思うの。だから、女バスに入らなかった。
...でも、やっぱりバスケが好きでさ、マネージャーって形で、バスケに関わることにしたんだ。」
先輩達がそんな思いでマネージャーをやっていたなんて知らなかった。
「咲先輩...」
「...集合かかったから行くよ。」
相変わらず無表情だけど、やっぱり咲先輩は冷たくない。
無表情でも咲先輩の優しさは分かる。
鈴奈先輩も咲先輩も里依紗先輩も、みんな優しい。
ここでなら、またバスケに関われるかもしれない。
また、バスケが楽しいと思えるかもしれない。
今度はここで頑張ろう。
まずは1週間。
部員達と先生に認められるように。