あの日の約束を、君ともう一度





依月とこんな風に話せるようになると思ってなかった。







依月と会うことすらできないと思っていた。







二人で駅まで歩く。






お互い、特に何も話さなかった。






それなのに嫌じゃない。






なんでかは分からない。







けど多分、依月だから嫌だと思わないんだ。







「あれ、依月ってこの駅じゃなくない?」







電車に乗って4つ先の私の最寄り駅に着くと、私と一緒に依月も降りた。







依月って沢守中だから、確かあと3駅先だった気がするんだけど...。







「.....家まで送る。」







「え.....?」






送るって、家までって意味だったの!?







てっきり駅までかと思ってた。







そもそもここから送ってもらわなくても、10分くらいで家に着く。








「い、いいよ!家近いし大丈夫!」







「でももう10時になるから送る。...ほら行くぞ」







依月は私の手を乱暴に掴むと、歩き始めた。






...何この状況。






っていうか、私の手を引っ張ってるけど、依月は私の家知らないよね?







「い、依月!?」






「ん?」






「か、改札でたらお金かかるよっ!?」







「定期あるから平気。...それよりどっち」








「そっか定期か。北口だよ。...じゃなくて!ほんとに送らなくて──────」







「いいから。...ほら行くぞ。」







そう言って歩き出した依月に、もう黙って送られることにした。






< 128 / 166 >

この作品をシェア

pagetop