あの日の約束を、君ともう一度
依月とこんな風に話せるようになると思ってなかった。
依月と会うことすらできないと思っていた。
二人で駅まで歩く。
お互い、特に何も話さなかった。
それなのに嫌じゃない。
なんでかは分からない。
けど多分、依月だから嫌だと思わないんだ。
「あれ、依月ってこの駅じゃなくない?」
電車に乗って4つ先の私の最寄り駅に着くと、私と一緒に依月も降りた。
依月って沢守中だから、確かあと3駅先だった気がするんだけど...。
「.....家まで送る。」
「え.....?」
送るって、家までって意味だったの!?
てっきり駅までかと思ってた。
そもそもここから送ってもらわなくても、10分くらいで家に着く。
「い、いいよ!家近いし大丈夫!」
「でももう10時になるから送る。...ほら行くぞ」
依月は私の手を乱暴に掴むと、歩き始めた。
...何この状況。
っていうか、私の手を引っ張ってるけど、依月は私の家知らないよね?
「い、依月!?」
「ん?」
「か、改札でたらお金かかるよっ!?」
「定期あるから平気。...それよりどっち」
「そっか定期か。北口だよ。...じゃなくて!ほんとに送らなくて──────」
「いいから。...ほら行くぞ。」
そう言って歩き出した依月に、もう黙って送られることにした。