あの日の約束を、君ともう一度
3
「染谷帰るぞー」
あの日から私と依月は毎日一緒に帰るようになった。
別に約束をしているわけじゃないけれど、自然とそういう流れになっていた。
特に何を話すわけでもない。
話すとしてもバスケのことばかり。
自分でもバスケバカだと思う。
私も依月も勉強なんて出来ない。
数学の公式なんて覚えられないし、地理の気候とか訳が分からない。
連立方程式とかほんとに記憶ないし。
けど、バスケのことはいつまでも覚えてる。
たとえば、プロバスケットボール選手の出身地、出身高校。
それから、ポジション。
そういうのはいつまで経っても忘れない。
そんなバスケバカな私たち。
「昨日の試合のさ─────」
楽しそうに話す依月。
私も楽しいよ。バスケの話をするのは。
でもね、辛いんだよ。
「俺もあんなプレー出来っかな?」
その一言が、私にとってはとても辛いの。