あの日の約束を、君ともう一度
5【依月side】
総体でベンチには入れたものの、試合には出れなかった。
それがとてつもなく悔しい。
桜丘のバスケ部でベンチに入るのが難しいことは知っている。
でも、いくらベンチに入れたって、試合に出れなければ意味がない。
俺は、今までよりも自主練の時間を増やした。
いつも一緒に帰っていた染谷は、何も言わずに待ってくれていた。
俺は、バスケの練習をキリのいいところでやめ、バスケットゴールから染谷に目を移した。
染谷は体育館の隅で、自分の膝を抱えるようにして眠っていた。
「....先に片付けるか」
染谷を起こして片付けを手伝わせるのは申し訳ないと思い、俺は一人で片付けることにした。
半分は部員が帰るときに片付けてくれたおかげで、一人でもすぐに終わる。