あの日の約束を、君ともう一度
「バスケ好き?」
声をかけた私に、男の子はビクリと肩を揺らした。
「す、好きだけど.....。お前だれだよ...?」
まぁ知らない人から話しかけられたら怖いよね。
普通の感覚だと思う。うん。
「.....私は染谷沙耶佳。桜丘高校の1年だよ。」
「桜丘...!?.......俺は、眞鍋皐月。沢守中(サワモリ)1年。」
中1だったのか。
.....眞鍋??
眞鍋って、まさか眞鍋依月の...?
いやいや、まさかね。
「なぁ桜丘ってことは染谷もバスケやってるの.......んですか?」
何気ない皐月の問いかけに、冷や汗が流れた。
「.......やってたよ。中学の時にね。でももうやめちゃった。あと、敬語じゃなくていいよ」
「わかった。.........なんでやめたんだよ?」
昔の私を知らない人になら教えてもいいのかな。
でももし、もし皐月が依月の弟だったら?
全てがバレるかもしれない。
そんなの嫌だ。
「私はね、もうバスケできないんだ。.......皐月は、依月の弟?」