あの日の約束を、君ともう一度
「染谷も兄貴も、なにやってんだよ!!」
私たちの間に割って入ってきた皐月。
「皐月.....」
「2人に何があったのかは知らねぇけど...っ」
「じゃあ入ってくんなよ!」
「兄貴...?」
皐月は酷く傷ついたような顔をした。
「なんも知らねぇくせに入ってくんな!」
なにも知らなかったら、入ってきたらいけないのなら。
それなら、衣月だって。
「.....じゃあ衣月も私たちのバスケの邪魔しないで。」
「は.......んでそうなんだよ」
「だって、何も知らなければ入ってきちゃダメなんでしょ?」
「...っ」
ああもう。
なんで今日衣月が来るの。
今日は、少し精神的に不安定で。
皐月を傷つけそうで怖いと思っていたのに。
どうしてそういう時に限って衣月が来るの。
私だって、衣月を傷つけたいわけじゃない。
誰も、傷つけたくない。
でも、結局傷つける。
「皐月、ごめん。」
私は彼らに背を向けた。
もう、ほんとに嫌だ。
自分が大嫌いだ。
なんで傷つけてしまうんだろう。
衣月のことも、皐月のことも。
結局私は、2人のことを傷つけた。
「...っ染谷!」
皐月が私の左手を掴んだ。
確か昨日も掴まれたな、と怖いくらいに冷静に考える。
私の手を掴んだ皐月の瞳は、揺れていた。
「...なぁ、ごめんってなんだよ?.........あと、兄貴には“飽きた”って言ってたのか?俺には“出来ない”って.....。」
私の嘘が、崩れていく。
衣月と皐月に、同じように言えばよかった。
そうすればバレなかったかもしれないのに。