あの日の約束を、君ともう一度




「は...?どういう事だよ」





衣月の眉間にシワがよる。





私はゆっくりと、皐月の手を右手で離した。





「...」





早く、帰りたい。





この場からいなくなりたい。





皐月と衣月から離れたい。





「黙ってないでなんとか言えよ!」





衣月の声に、体がビクッと跳ねる。





「あ、兄貴、落ち着けって。」





皐月が宥めようとしているけれど、それは全く意味を持たなかった。





本当のことを話すべきなの?





それともまた嘘をつく?





嘘をつくとしたら、なんて言うの?





頭が働かない。




頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。




複雑に絡み合った糸は、解けない。





< 28 / 166 >

この作品をシェア

pagetop