あの日の約束を、君ともう一度





『衣月君はバスケが上手なのに、どうして皐月君は出来ないのかしら。』






そんな言葉、もう聞き飽きた。






兄貴みたいに上手くなりたい。






その気持ちは、いつの間にか消えていた。






“兄貴とは違って、俺には才能がないんだ”






そう言って、諦めるようになった。






比べられるのは嫌いだ。





なんで兄貴と比べられなければならない?





兄弟だから?





俺がバスケをしているから?





大好きだった兄貴は大嫌いになって。






好きだったバスケも、嫌いになった。






兄貴が努力していたのは、誰よりも知ってる。





もちろん兄貴だって、最初からバスケが上手かったわけじゃない。






そんなこと、分かっている。






分かっていても、兄貴もバスケも嫌いになった。





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