あの日の約束を、君ともう一度
今日は外国に単身赴任している父さんが帰ってくる日。
だから、家にいるように言われた。
でも、“染谷が来るかもしれない”そう思うと、行かずにはいられなかった。
いつも通りコートに行けば、染谷が来てくれて。
来てくれないかもしれないと思っていたから、素直に嬉しかった。
でも、そこに兄貴が来た。
兄貴は染谷を見た瞬間に、眉間に皺を寄せた。
その表情は、染谷を嫌っているのだとひと目で分かった。
なぜ嫌うのか。
俺は不思議だった。
染谷は、嫌われるタイプじゃなさそうだったから。
むしろ、クラスの中心にいるような。
俺の中の染谷は、そんな存在で。
だから、なぜ兄貴が染谷を嫌うのか、理由が全く思いつかなかった。