あの日の約束を、君ともう一度
「...なして」
嗚咽が出ないように気をつけながら、声を出す。
「...っ離してよ!!」
右手をどんなに振っても、伊月は離してくれなくて。
私のこと嫌いなんでしょ?
それなら離してよ。
「離してってば!」
私は左手を使えない。
人のもののようにぶら下がった左腕。
それは紛れもなく私のものなのに、私に使うことは出来ない。
かつて、自由自在に動かしていたそれは、もう全く動かせない。
右手だけで振り払おうとしても出来なくて。
「...なんで左手使わねえんだよ。」
伊月のその言葉に、ドクンッと心臓が大きく跳ねた。
「ま、真鍋!」
莉花が伊月の腕を掴んだ。
それによって、伊月の、私の腕をつかむ力が弱まった。
私は勢いよく腕を振って、その場から駆け出した。
後ろで伊月と莉花が何か言っていた気がしたけれど、私が振り向く事は無かった。