あの日の約束を、君ともう一度
そう思って、今日さやに話しかけた。
仲直りもできて、さやの本音も聞けて。
全てが順調だった。
それなのに、真鍋が来た。
真鍋の声にさやの肩が跳ねる。
なんで今来たの。
なんで...。
本当、真鍋ってタイミング悪い。
真鍋はさやが泣いていると知らないで、『河合を傷つけるな』と言った。
確かに傷つけられたこともある。
でもその分、私だってさやを傷つけてる。
それに、『傷つけるな』なんてこと、真鍋が言えるような言葉じゃない。
真鍋は、自分がどれだけさやを傷つけてるか分かってない。
真鍋の言葉全てが、さやにとってはナイフなのに。
真鍋は、今さやが一番言って欲しくないことを言った。
『なんで左手を使わねえんだよ。』
その言葉にさやの動きが止まった。
私は思わず真鍋の腕を掴んだ。
その瞬間、さやが真鍋の手を振り払って駆け出した。
「さや!」
「染谷!」
私と真鍋がほぼ同時にさやを呼んだ。
そして、すぐに私達もさやのあとを追って駆け出した。