あの日の約束を、君ともう一度
誰もいない真っ暗な道。
私の少し荒い息遣いと足音だけが響く。
「疲れたー...っ」
久しぶりにこんなに走った。
昔の方が断然早かったけど。
「星は...見えないか」
空を見上げても輝く数多の星は見えない。
「...そろそろ帰るかなー」
私はポケットからスマホを取り出して、画面をつけた。
「げっ」
時刻は午後10時。
目に映るのは不在着信10件、新着メール25件の文字。
ロック解除すれば、あらわになる差出人。
...お母さん、相当怒ってる。
前はこの時間に走ってても何も言われなかった。
なのに、こんなに怒られるようになったのは私の左手が使えなくなってから。
あの日から、お母さんは過保護になった。
私はため息をひとつこぼして、家へと走り出した。