あの日の約束を、君ともう一度




「そ、それは、ほら、借り物だし!」





なにこの苦しい言い訳。





「...借り物なら、家に置いておけばいいじゃない。付けていた方が汚れるでしょ。」





冷静なツッコミ、ありがとう。





なんて言っている暇はなくて。





「バスケが好きだから、あの大会の約束を忘れられないんじゃないの?だからそれを外せないんじゃないの?」





莉花の言葉に返す言葉が見つからない。





その通りだ。





私はあの日の約束を忘れることは出来なかった。





もう守れない約束。





私が破ってしまった約束。





彼の連絡先を知らなくて、まだなにも言えてない。




きっと私がいないことを不思議に思っただろう。




だって、私の学校は優勝しているのだから。





部員は全員会場に行った。





行かなかったのは私だけだった。





謝っても謝りきれない。




「.....莉花には分からないでしょ?」





思ってもないことが次々と言葉になっていく。




これ以上言ったら莉花を傷つけてしまう。





分かっているのに止まらない。







< 7 / 166 >

この作品をシェア

pagetop